故障車の廃車
使用しなくなった自動車の廃車手続きには、大きく分けて一時抹消登録と永久抹消登録という2つの方法があります。
この二つの廃車手続きは必要な書類や手続きの手順が変わってくるほか、自動車の種類によっても手続きの内容が異なるのが特長です。ここでは「故障車」を対象とした廃車手続きについてご紹介いたしましょう。
故障車とは?
事故などの外部からの影響や、経年劣化による構造上の不具合などによって正常に走行・作動しなくなった自動車のことを故障車と言います。
故障車の場合、その故障の程度が軽度であれば自走することが可能ですが、故障によって走行すること自体が不可能な場合は、廃車手続きの中で解体業者へ引き渡す際に牽引などを行う必要があります。
故障車の一時抹消登録
一時的に長期間自動車を使用しないことが想定される場合に行うのが、一時抹消登録という手続きです。修理をすれば状態が改善しそうな故障車などは、その修理費用の目処が立つまで乗らないというケースがあるかもしれません。そのような時に一時抹消登録を行うと考えれば一時抹消登録が簡単に理解できるのではないでしょうか。
この一時抹消登録は一時的に自動車を使用できなくするためのものですから、故障が直った時には手続きをすれば、その自動車の使用を再開することができます。また、もし故障が直らずに二度と乗らないことがわかれば、解体届出という手続きを行うことで永久抹消登録と同じ状態にすることも可能です。
一時抹消登録の方法について
故障車の一時抹消登録をする際には、幾つかの段階を踏んだ手続きが必要になります。
これは、一時抹消登録の手続きを行う時にナンバープレートを返納する必要があるためです。なお、外すナンバープレートは前後2枚両方ですので、片方だけ取り外してもう一方は残したままにしないよう気をつけておきましょう。
窓口で一時抹消登録をしたいと伝えれば、申請用紙などの書類を貰うことができますのでその書類に必要事項を記入しましょう。書類の記入については窓口に記入例がありますので、それを参考にすれば簡単に作成できます。
そして手数料納付書にナンバープレートを返納したという証明印を押してもらい、手数料分の収入印紙を貼付します。これで書類は一通り完成しますので、その書類一式を窓口へと提出してください。
この一時抹消登録証明書は再び故障車を使用する際や、解体届出を行う際に返還しなければなりませんので大切に保管しておいてください。証明書の発行については、その当日の窓口の混み具合によりますが早くて30分、混雑していれば2時間程度かかることもあります。
車検などの期間が残っていれば、この手続きを行うことによって自動車税の還付などを受けることができます。以上で故障車の一時抹消登録の手続きは終了です。
故障車の永久抹消登録について
故障車の場合、どれだけ修理を行っても故障箇所の状態が良くならなかったり自走が全くできない状態になったりするものです。
そうなればその自動車は完全に使用できなくなりますので、「もうこの自動車を永久に使用しません」という手続きを行う必要があります。その手続きであるのが永久抹消登録です。
ただ、永久抹消登録は自動車を解体しておくことが前提として求められますので、その手続きをしてしまうと二度とその自動車を使用することができません。ですから、永久抹消登録を行うべきかどうか熟慮しておくことも大切です。
また、自動車を解体したとしても永久抹消登録を行わない限り、自動車税や保険料の納付義務は課せられたままになるという点についても気をつけておきましょう。
永久抹消登録の方法について
故障車の永久抹消登録をする際には、幾つかの段階を踏んだ手続きが必要になります。
永久抹消登録をする場合も自動車のナンバープレートを取り外しておいてください。取り外すナンバープレートは前後2枚で、これを手続き時に返納します。
永久抹消登録は二度とその自動車を使用しないという手続きですので、手続きを行う前に自動車の解体を行っておく必要があります。解体についてはリサイクル業者などの専門業者に依頼してください。故障車の場合はその故障の度合いによって自走ができないケースもありますので、解体業者に解体を依頼する際には故障の程度やレッカー移動が必要かどうかなども伝えておくと良いでしょう。また、自動車が解体されれば業者から解体を行った旨の連絡が来ますので、解体を行った日付についてメモに書き留めおいてください。この日付のメモ書きが、永久抹消登録の手続きを行う際に解体を行ったという証明になります。
運輸支局の窓口にて永久抹消登録をしたいと伝えれば申請書類などが渡されますので、例を見ながらその書類に必要事項を記入します。
ナンバープレートを窓口へ返納し、永久抹消登録の手数料となる収入印紙を購入したら、手数料納付書にナンバープレートを返納した証明印の押印と、収入印紙の貼付を行ってください。その後、印鑑証明書などの書類一式を窓口へ提出します。
この証明書はその自動車が存在しないことを証明するためのものですので、大切に保管しておきましょう。
永久抹消登録を行って廃車証明書の交付がなされても、まだ自動車にかかっていた税金の納付義務は停止されていませんので、運輸支局内にある自動車税事務所で自動車税関係の手続きを行ってください。この手続きを行えば、車検の残り期間がある場合自動車税の還付を受けることもできます。以上で故障車の永久抹消登録は終了です。
故障によって一時抹消登録をした自動車について、今後二度と使用することがないという状態になる可能性はかなり高いと考えられます。このような場合、永久抹消登録ではなく解体届出という手続きを運輸支局にて行うことで、永久抹消登録と同じ状態にすることができるのです。
簡単に言えば、一時抹消登録+解体届出=永久抹消登録ということです。
解体届出を行う場合は永久抹消登録を行う場合と同じように、手続き前に自動車を解体しておく必要がありますので注意しておいてください。